【第2回】 菱形筋の鍛え方

人は一般的に腕を使うにあたって肩を使ってしまい、体からの力を出せないばかりか、ついには肩を壊してしまうことになりかねない。40肩、50肩はこの結果であろう。

体や腹からの力を手から出すには、菱形筋を使いこなさなければならない。ここが動かなかったり、硬いと、真の力が出にくい。

菱形筋を柔軟にするには、先ず一人稽古でこの筋肉を使うことを意識してやるのがいい。本部道場の故有川師範が晩年よくやられていたものをここに紹介する。

【1】
右半身から正面打ち、横面打ち、突き
左半身になり、正面打ち、横面うち、突き

これをゆっくりと正確に繰り返す。
ここで注意するのは、正面打ちのときには、手を正中線上にまっすぐ上げ、止まったところで手の位置は動かさず胸を開くようにして脇を十分広げ、それから脇を締めながら切り下ろすことである。

【2】
右半身から正面打ちで切下ろし、正中線を振りかぶり十分腕が伸びたところで、腕を左に移動する。耳もとから袈裟切りで切り落とし、手を返して袈裟切りで切り上げる。上げた手を右に移動し同じように袈裟切りで切り下ろし、切り上げる。手を脇下に下ろし、胴を左右切りし、突く。


(写真:有川師範)

この筋肉が使えるようになると、自分の腕の重みを感じることができるようになり、力を効率よく使えるようになる。
合気道に限らず、熟達した武道家、スポーツ家、芸能人、音楽家も手先や肩ではなく、この部分を使用している。