【第518回】  宇宙との一体化への道へ

合気道は、相対の形稽古で技を練り合いながら精進していく。先ずは、基本の形を覚えなければならないが、これはそれほど難しくない。その証拠に、真面目に稽古をしている人は、誰でも形を身につけているし、形が難しすぎるからといって合気道を止めたというのは聞いたことがないからである。もちろん形を身につけたといっても、程度の差はあるものだ。

合気道の形を身につけるとは、形を見て、それを正面打ち一教とか両手取り四方投げなどと分かることと、自分でもその動きができること、それと共に、見た人にそれが合気道の形であるとわかることである。

形を身につけると、次は技を身につけていかなければならない。しかし、形と違って、技を身につけていくのは容易ではない。その理由は、技は宇宙の営みを形にするもので、法則があると同時に、無限にあるはずだからである。数年で形を覚えるのと違って、数十年でも足りないし、おそらく人ひとりの一生ですべて身につけるのはできないだろう。

宇宙の営みに則り、宇宙の法則に則った技を身につけていくためには、体をその法則に則ってつかっていかなければならない。開祖は、宇宙と人間の体は同じである、といわれる。つまり、同じ働きであり、宇宙と人の体は同調する、ということであろう。

技がうまくかからないということは、その技が宇宙の法則に則っていないということになるし、体の働きが宇宙に同調していないということになるだろう。しかしながら、宇宙の営み・法則に則って技をかけていくのは容易ではない。それは、開祖がいわれている宇宙の営み・法則というものや、宇宙と人の体の同調などが、なかなか実感できないからであると考える。

これらの事が実感できるようになるには、合気道の稽古を通して身につけるしかないだろう。

合気道の目標を、開祖は「宇宙との一体化」といわれている。すると、合気道の修業をしていけば、宇宙が身についていくことになるはずである。宇宙の営み・条理・法則に則った技を身につけていくことにより、宇宙を取り入れているわけである。