【第47回】 1+1=?

1+1の答えは、いくつだろう?学校での解答なら、2となるし、こう答えないと×(バツ)をつけられる。しかし、1+1=2というのはある条件のもとで正しいのであって、便宜的で、約束事でしかない。これが完全で、唯一の解答、正解だと思うのは間違いである。実際の生活の場では、1といっても非常に曖昧である。1には0に限りなく近い1と、2に限りなく近い1があるはずだ。そうすると1+1は0に限りなく近いが0よりは大きいし、4に限りなく近いが4よりは小さいので、つまりは0<>4となるのである。

社会では一般的に一人幾らという料金が設定されているが、これは我々料金を払うものにとっても不公平に思えるし、また、料金を設定する方にとっても満足できないものだろう。航空運賃などが、その典型である。私から言わせてもらえば、例えば、90kgの体重のある人は、体重60kgの私が1とすれば、1.5倍の料金を支払って欲しいと思う。宇宙旅行が一般化したら、料金は体重制になってほしい。ソフトの知恵の分野でも、1+1は2以上、文殊の知恵となると言われている。合気道や他の武道の段でも、初段は初級に近い初段もあれば、二段に近い初段もあるであろう。

社会にあまり問題がなく安定し、発展している場合は、1+1=2と答える人が頭がいいと評価され、官僚や企業のリーダーになり国や社会を引っ張っていくことが多い。しかし、グローバル化が進み、世界が変わろうとしているとき、外国の政治家や企業と丁々発止でやり合わなければならない状況では、1+1=2と解答するような人には、問題に対処するのが難しくなってきているようだ。例えば、北朝鮮との交渉を見ていると、つくづく、これまでの1+1=2と答えてきたようなエリートにとっては、彼らと話し合うのは簡単ではないだろうと察せられる。

1+1には、3つ目の答えがある。これは合気道での答えである。答えは1+1=1である。更に言えば、1+2,1+3も1なのである。これが、もし1+1=2になると、合気道ではなく争いになる。合気道では相手と合気して、結んで一つにならなければならないので、何人きても合気してしまえば、相手は1なのである。

合気道はエリートの養成をしているわけではないのだから、1+1=2などと答えないで、1と答えるだけでなく、1になるように実践していかなければならない。この1+1=1がこれからの混沌とする社会を救えるのではないか、と期待される。