【第421回】 宇宙の道

我々が修行している合気道とは、想像していたよりも広く、深いようである。それは、まるで宇宙のように思えるほどである。

「合気道」とは何か、を開祖はいろいろといわれている。それで我々凡人には理解し難い事になるわけだが、宇宙規模の「合気道」を角度や方向を変えてみれば、そうなってしまうのは仕方ないだろう。

例えば、「合気道」とは、
〇真の武であり、愛のみ働き 〇すべてを生かす羅針盤 〇宇宙の万世一系の理 〇天授の真理 〇天地人、和合の道 〇万有の処理の道 〇言霊の妙用 〇宇宙みそぎの大道 〇真理の道 〇小戸の神業 等などといわれている。

また、開祖は、合気道は宇宙の道である、ともいわれている。今回は、合気道は宇宙の道、宇宙道であることを確認し、そのためにはどのようにしなければならないか、を考えてみたいと思う。

合気道修行の目標は、宇宙との一体化である。宇宙道である。己ができようができまいが、精進したい修行者はそれに向かわなければならないだろう。その目標に一歩でも半歩でも近づくことが、進歩、上達になるからである。上手下手の基準はこれしかない。

しかしながら、宇宙との一体化は容易ではない。努力やある程度の才能もいるかもしれないが、大事なことがある。それは、次の二つのことを信じなければならないことであると考える。

一つ目は、宇宙との一体化の可能性はあるということ
二つ目は、合気道、宇宙道は科学であるということである

一つ目の「宇宙との一体化の可能性」は信じなければならない。開祖がそういわれているし、ご自身が宇宙と一体化され、多くの人達や、我々門人たちにその一端を示されたからである。

また、開祖は我々門人たちにも、宇宙道を鍛錬し、宇宙と一体化するように、といわれている。「この道(合気道)は宇宙の道で、合気道の鍛錬は神業の鍛錬である。これを実践してはじめて宇宙の力が加わり、宇宙そのものに一致するのである」(「合気真髄」)というのである。

二つ目の、合気道は科学であることも、信じなければならない。科学とは、同じ条件のもとで再現できるもの、ということである。合気道も条件を満たしていけば、誰でも同じ結果を出す事ができるようにできているはずである。具体的には、技を遣うに際して、条件が満たされれば、その技は効くことになる。

合気道の技は宇宙の法則に則っているわけだから、技は真理である。かつて本部道場で教えておられた有川定輝師範は、この真理を神と云っておられた。

開祖は、これを「合気道は真理の道である。合気道の鍛錬は真理の鍛錬であって、神業を生じるのである」(「合気真髄」)といわれている。つまり、合気道は真理の道であり、真理の鍛錬であり、科学なのである。

この二つの条件を信じたら、次にどのようにすれば宇宙との一体化ができるようになるのか、を整理してみる。それは、先述の開祖のお言葉の中にある。

まず宇宙の条理であり法則である真理を、技の練磨で鍛錬していくことである。宇宙の真理を見つけ、技に取り入れ、そして己の身で業となるようにしていくのである。これを、神業の鍛錬というのであろう。

この神業で技をつかったり、活動していけば、宇宙の力が加わり、そして、遂には宇宙そのものと一致することになるはずなのである。合気道は、宇宙の道への宇宙道なのである。