【第418回】 何かが導いてくれる
人は自分自身で生きていると思い、自分ががんばればよいと思っているようだが、実はいろいろな人やモノに支えられている。というよりも、すべての人やモノに支えられているのであって、万有万物で関係のないモノはないはずだ。
人は国や地域、時代が変わっても、家族であるし、虫鳥獣もこの世に必要な同胞ということになる。宇宙楽園建設のために必要不可欠な家族であり、同胞なのである。
同胞が自分を支援してくれるのは当然だろう。そして見えるものだけでなく、見えないものにも支えられているはずである。
研究者が研究に没頭している時や、芸術家が絵画や音楽家が作曲に励んでいる時と同じように、武道に専心しているときには、何かが導いてくれるようである。昔の武道家が修行していて神様や天狗に教えを受けた、とまではいかないにしても、少しずつではあるが、何かに支えられ、進歩するように、導かれているはずである。
もちろん導かれるためには、やるべきことをやり、それに、できるだけの努力をしなければならないし、自分を限界まで追い込まなければならないだろう。
合気道では、このような極限の状態に自分を追い込むと、何かが支援してくれるという。その経験と実績のある開祖がそういわれるのだから、信じなければならないだろう。合気道は宗教ではないが、宗教のようにまずその大本の開祖の言葉を信じなければ、上達などないはずである。
開祖は『武産合気』(一部、『合気真髄』)の中で、開祖のために支援してくれたモノ、そして誰にでも支援をしてくれるモノがあることを、次のようにいわれている。
●開祖を支援:
- 「私の後ろから偉い方々が進んでくるのです。これには天照大御神との間に、何か黙約があるのです。今日、こうしてあるために何かがあるのです」
- 「目の前に白い光りものの玉が現れ、その中に今一人の私が立っている。それは錯覚ではなく私の修行であり、これによって私は常に進歩できると思ったのです」
- 「私がのりとを奏上して神々を拝むと、天地一つになり、日月星辰が悉く自分を中心に、その妙精がまわり集まって来る」
- 「私は神前にお灯明をあげると、お灯明が一つの光となり、その光が変わって自分の本体となる。それを真に把えることが出来るのである。その時、自分の周囲に白光の中に光となって神々が綺羅星の如く、ズーツと一つの輪を描いて集い輝きその法座に下がって来るのである」
- 「(この戦争を止めさすべく)その時は神は汝に神つけるから、汝の一身によって果たし、戦争を止めるように進め、と神示すが現れた」
●誰にでも支援がある:
- 「自分一人でも開眼すれば、宇宙の気はみな悉く自分一人に、自然に吸集されてくるのです。そして悟るべきものはすべて悟るのです」
- 「魂の緒をとぎすまし、そして大祓祝詞を奏上すると、その道々より神々がお招きせぬとも、相参じ相集いて、八百万の神々がその人その人を守り、導いて下さるのです」
- 「この五つのもの(日月の気、天の呼吸、地の呼吸、潮の干満、澄み切った玉)が世界を淨め、和合させると思っている。これに賛成する人は、同士として光明を天から与えられ、それを観得される筈です」
- 「吾人には八百万の神々が悉く道により守護してくれることになっている」
- 「結局祭政一致の本義、忠孝の大本を崩さぬように、天地の正しい道を守り育てることであり、これにつとめることである。そうすると、諸神諸仏はまねかずとも来て守護するのである」
- 「自分の心の立て直しができて、和合の精神ができたならば、みな顕幽神三界に和合、ことごとく八百万の神、こぞってきたって協力するはずになっております」(『合気真髄』
開祖のような神仏の支援はないだろうが、凡人にも神仏の支援があるということである。まず、これを信じ、そして神仏が協力してくれるよう、心の立て直しをし、和合の精神を培っていかなければならないだろう。
人間一人の力には限界がある。自分以外の何かのお力がお借りできるよう、何かが導いてくれるようにしなければならないだろう。
Sasaki Aikido Institute © 2006-
▲