【第361回】 合気道は自己を知り・・・光りある妙技をつくること
合気道を長年稽古していても、合気道とは何か、何を目標に稽古をするのか、分らないままであり、また、そういうことを考えずに、続けている稽古人が多いようである。別にそのようなことを考えなくても、稽古はできるのだから、とやかくいう必要もないだろう。だが、これは稽古をするものにとって基本的な最重要課題であると思うし、また、下記のように、開祖はわれわれ稽古人に真剣に伝えようとされていたわけだから、この課題に取り組んでみたいと思う。
開祖は「合気道は自己を知り、大宇宙の真象に学び、そして一元の本を忘れないで、理法を溶解し、法を知り、光ある妙技をつくることである」(「合気真髄」)といわれている。これが、合気道とは何か、何を目的に稽古をしていくか、の回答ということになるだろう。
そこで、開祖がどのようにお考えだったのか、これはどのような意味なのかを、考えてみたいと思う。
- 合気道は自己を知る:合気道を精進するためには、自分を知らなければならないということである。つまり、自分の心、自分の体のことを知らなければならないし、筋肉、骨格、内臓などなども勉強しなければならない、ということである。また、自己を知るために、自分は何者なのか、どこから来てどこに行くのか、などを考えることでもある。
- 大宇宙の真象に学ぶ:一元の大御神から、精神と物質の二元が生み出され、万有万物がつくられ、宇宙楽園建設のために生成化育を営んでいる。
これを、開祖は次のようにご説明されている。「一元は精神の本と物質の本の二元を生み出して理法をつくり、そして全宇宙を営み、天地万有に生命と体を与え、さらに万有愛護の大精神の達成の生成化育の大道を営むのである。」
- 一元の本を忘れない:人だけではなく、万有万物はすべて一元の大御神に繋がる一家であることを、忘れないことである。自分の親、親の親、・・・類人猿、・・魚類、・・・菌類、分子、原子、・・等などと一元に繋がっているので、他人はいない。また、古今東西・過現未の万有万物は、すべて一元の本のポチ(大御神)につながるのである。
- 理法を溶解する:宇宙の営み、宇宙の条理があることを知り、それをひとつづつ解明していくこと。その理合を技につかい、生活すること、である。理法とは、例えば、何もないところから、どのようにして精神と物質がつくられたのかを解明する。また、万有万物は十字から生まれるから、技や体は十字につかわなければならない、等ということであろう。
- 法を知る:合気道の技は、宇宙の営みを形にしたものである。宇宙の営みは条理があり法則があるから、合気道の技にも法則がある。技をつかうために、宇宙の法則を知り、それを身につけていかなければならない。宇宙の法則を技で身につけて行くことによって、宇宙に近づき、そして宇宙と一体化できるようになるだろう。
- 光りある妙技をつくる:上記をしっかりやっていけば、宇宙の営みと一体化した真善美に満ちた技が使えるようになり、そうすれば、その技は燦然と光り輝くような妙なる技となるだろう、ということである。
上記の5つのことは、他人には外から見えないので、どの程度分っているのかは見えないだろう。だが、この光ある妙技は、他人にも自分にも見えるものである。つまり、技を見れば、上記のことがどれだけわかっているか、身につけられたか、がわかるはずである。妙技をつくるために、上記の件をより深く、広く、身につけていかなければならないだろう。
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