【第291回】 山 彦(道歌5)

開祖は、山彦の道がわかれば合気は卒業だ、といわれていた。従って、山彦の道は、合気道にとって大事なことであるといえる。

以前にも書いたが、山彦の道とは宇宙と共鳴する道であり、合気の道ということになると考える。山彦の道をそう定義して、道歌を解釈してみると、山彦の道がさらに解るのではないだろうか。

天地に 気結びなして 中に立ち 心構えは 山彦の道
試訳:天地と気結びして、天と地の間に立ち、宇宙のひびきを聞くのが、山彦の道である(または、宇宙のひびきを聞こうとすることが、山彦の道である)

おのころに 気結びなして 中に立つ 心みがけ 山彦の道
試訳:大地に気結びして、天との間に立ち、(宇宙のひびきを聞く)山彦の道で心をみがきなさい

ことだまの 宇内にたぎる さむはらの 大海原は 山彦の道
試訳:宇宙のひびきは天下(世界)に満ち、森羅万象の気を整えて世の歪みを正道にもどす大海は(宇宙のひびきを聞くために最適な)山彦の道

火と水の 合気にくみし 橋の上 大海原に いける山彦
試釈:火と水の相和している天の浮橋では、まわり中で宇宙の響き(山彦)が活きている

天地人 和楽の道の 合気道 大海原に 生ける山彦
試訳:天地人が和合し楽しむ道が合気道であり、大海に宇宙のひびきが響き合っている

日地月 合気になりし 橋の上 大海原は やまびこの道
試釈: 天地人が和合して結び合えば、そこは天の浮橋となり、宇宙のひびきが響き合うところである

山彦はいろいろなことを教えてくれるようである。これからも、宇宙の響きが聞けるように、山彦の道を目指さなければならない。