【第251回】 宇宙の法則

合気道は技を練磨して精進していくわけだが、「技は、すべて宇宙の法則に合していなければならない。」と言われるように、合気道の精進には「宇宙の法則」ということがポイントになるようだ。この「宇宙の法則」は、宇宙の条理とか宇宙の営み、また自然の法則ともいわれているようだ。

これまでも「宇宙の法則」とはなんだろうと考えてきたが、まだよく分からない。ただ自分としては、漠然と技を通して感じたものが「宇宙の法則」ではないかと思っている。例えば、十字、陰陽、裏表、表裏一体、引力などなどである。

前回、前々回と、101歳になる詩人のまど・みちおさんの詩集『どんな小さなものでも みつめていると 宇宙につながっている』(新潮社、2010年12 月20日刊)で、宇宙と合気道を考えてみたが、引き続きそのまど・みちおさんの詩を通して「宇宙の法則」を考えてみたいと思う。

前にも書いたように、まど・みちおさんは宇宙を感じておられるようであり、われわれ若輩は大いに学ぶものがあると思う。大先生の言われているこの「宇宙の法則」についても、われわれに分かりやすく詩に詠われていると思う。

大先生の言われていることは、非常に難解でまだまだ分からないが、それを理解するために、この詩が大きな助けになるようだ。

私は私という人間ですけど、
こういう人間になってここにいようと思って
ここにいるわけではないんです。
私だけでなくあらゆる生き物がそうなんです。
気がついたら、そういう生き物としてそこにいる。
ということは、やっぱり
生かされてるっちゅうことじゃないでしょうか。
人間を越えた、ある大きな力――――、
「宇宙の意志」のようなものを感じずにはおれない。
それは「自然の法則」といってもいいかもしれません。


(まど・みちお『どんな小さなものでも みつめていると 宇宙につながっている』(新潮社、2010年12月20日刊)

「宇宙の法則」とは「自然の法則」であり、「宇宙の意志」ということになるのだろう。宇宙がこうありたいとする意志である。多分、大先生が言われるように、宇宙完成、生成化育のために万有万物に期待される、つまりわれわれにとって使命とも言うべきものかもしれない。

宇宙の意志に即するものこそ「宇宙の法則」ということで、「宇宙の法則」に則った合気道の技も宇宙の意志に即さなければならないことになる。

参考文献 まど・みちお『どんな小さなものでも みつめていると 宇宙につながっている』(新潮社、2010年12月20日刊)