【第205回】 技とは
合気道は技を練磨して精進する道であるといわれるように、「技」は重要である。重要であるなら、技とはどういうものなのかを一度考えてみなければならないだろう。
ただし、「技」という言葉はいろいろな分野で使われているし、その分野によって「技」の意味するところが違っているかも知れない。例えば、武道や武術、芸能や稽古事、技術者や職人、奇術師なども「技」という言葉を使うし、「技」を大事にしている。
「技」の内容や目的には若干違いがあるだろうが、「技」に共通する何かがあるはずである。
武道としての合気道では、「技」とは攻撃してくる相手を倒したり、極めたり、捌く技術または手並み、ということが出来るだろう。
合気道の「技」には、いくつかの特徴がある。特徴には、他の分野の「技」と共通しているものもあるだろうし、あまり関係ないものもあるようだ。
- 力を制する:
通常、力を力で制するには、より強い力を要する。力ではないが、強い力を制することができる技術(手並み)が技である
- 自然で無理がなく、理に合っている:
精妙な技は、無駄がなく不足もなく美しく、強い
- 合理的で科学的である:
技の上達のひとつは、より強力なものを味方にし、遣っていくことであろう。例えば、体の表を遣う。相手の手(諸手)より力が出る体幹、体幹より強力な地の力等など。開祖は、神様の力を遣われていたという。
- 非日常的な体の遣い方をする:
例えば、体を十字、反転々々に遣って、技を掛ける。末端からではなく体の中心から先に動かす。
これによって日常的な攻撃を制することができることになる
- 空間(宇)と時間(宙)からなるパターン(形):
技は、時間と空間軌跡からできており、宇宙の精妙な営みと合致することを目指すものである。
言うなれば、「宇宙の法則から抽出され、凝縮された形」が技であると言えよう。
開祖は、技について次のように言われている。「技はその造化機関(人とタカアマハラ)を通して科学化されて湧出してくるものである。」
「技」は、開祖や先人たちが宇宙の精妙な営みを科学化して抽出した技術であり、形ということが出来るだろう。人間が頭で考えて作った人工物ではないのである。人を目くらましする奇術などの技とは違う。それ故、真善美を備え、超人的な威力を発揮し、国や地域に関係なく人を納得させることができるのだろう。もしも火星人のような異星人が宇宙のどこかにいたとしても、宇宙の営みに合致した技を遣えば、彼らも納得してくれるのではないかと思うし、また彼らを納得させられるようなものでなければならないだろう。
従って、宇宙の営みに反するような、不自然な技術や形(時間と空間)は、われわれが求める技ではないことになる。それは自己流とか邪道の技ということになり、人にも異星人にも通用しない。
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