【第1回】 合気道は何故普及するのか

初めに合気道がなぜこのように世界中に普及し続けているのかを考えてみたいと思う。

合気道は、性別で見ると男女とも、年齢層では子供から高齢者まで、国内・国外で見ればほぼ世界中(約90カ国)で稽古されている。つまり、性別、年齢、民族、宗教に関係なくできるのである。
これは合気道には試合がないので、パワーがあるとか、運動神経がいいなどの特別な才能や体力は必要なく、誰でも自分のペースで楽しめるからだろう。

また、稽古法も独特である。先生が示す技を二人で掛けたり、受けたりする。先生が最初に技を示してくれるので、その技を真似すればいいのだから、そう難しいことではない。一人が取りをつとめたら、次は受けを取った者が取りをとると非常に公平である。つまり、どんな古株でも、高段者でも同じように受けをとらなければならない。また、初心者のうちは稽古相手が受けを素直に取ってくれるだけでなく、正しい技の動きに導いてくれる。しかし、段々上の段階に来ると、相手は技が効かないように逆らってくることもある。つまり、オモリになるのである。

技は大体、右左と裏表と4回が1セットなので、体の左右のバランスがとれる。
また受け身を取る時はころがるので、常日頃は縦になっている臓器を回転させることになり、気持ちもいいし、体にもいい。稽古は自分のペースでできるので、無理なく、適度な運動量となり、気持ちのいい汗もかける。

合気道の思想、哲学も多くの人をひき付ける。「合気道は真善美の探求であり、気育、知育、徳育、体育、常識の涵養である」と開祖は言っている。
合気道には目標はあっても決して完成はしない。自分の合気道は決して完成することはないが、それでも完成に向かって進むロマンである。人はこのロマンを求めているがなかなか見つからない。合気道は手頃に初められるロマンを追求できる貴重なものである。

まだまだ普及する理由はあると思うが、少し考えただけでも以上のようにある。 合気道が普及しているにはやはりそれなりの理由があるようである。